執筆:一般社団法人 共同監護機構 編集部(運営者情報)
最終更新日:2026年10月24日
「共同養育計画書は作ったほうがいい、というのはわかった。でも、どうやって作ればいいの?」
「相手と向き合って話すのは、正直つらい」
「専門家に頼むと、いくらかかるのだろう」
共同養育計画書とは、離婚や別居をする父母が、離婚後の子育てについて取り決めておく文書のことです。作成は法律上の義務ではありませんが、公的機関も作成を勧めています。
作り方は大きく分けて、自分たちで作る、専門家に頼む(支援を受ける)、アプリで作るの3つです。どれが合うかは、相手との関係、どこまで細かく決めたいか、かけられる費用や時間によって変わります。
この記事では、法務省などの公的機関の資料をもとに、3つの作り方のメリットと注意点、選び方の目安、組み合わせ方を解説します。計画書そのものについて知りたい方は、先に共同養育計画書とは?離婚前に作ることが勧められる理由と決める項目をご覧ください。
作り始める前に:どの作り方でも共通すること
決める項目は、どの作り方でも同じ
作り方が違っても、決める内容の土台は変わりません。法務省のパンフレットでは、共同養育計画書に記載することとして、次の6つが挙げられています。
- 親権者・監護者
- 子どもが住む場所
- 養育費・婚姻費用
- 親子交流(離れて暮らす親と子どもが会ったり、連絡を取ったりすること)
- 重要な事項の決め方
- 再協議(見直しの話し合い)
法務省は、共同養育計画書に決まった形はなく、家庭ごとの事情や子どもの意見を反映して作るものとしています。項目の詳しい内容は、共同養育計画書とは?で解説しています。
作成の流れは5ステップ
どの作り方でも、おおまかな流れは次のとおりです。
- 決めることを洗い出す:子どもの今の生活(学校や園、習い事、かかりつけの病院、1週間の送り迎えなど)を書き出しておくと、話し合いの材料になります。準備の進め方は、共同親権の離婚、何が不安?4つの不安と離婚前の準備で紹介しています
- 話し合う:2人で直接話す、第三者に入ってもらう、アプリを使うなど、話し合いの方法を選びます
- 文書にする:合意した内容を、1つの文書にまとめます
- 署名・押印する:法務省は、父母それぞれが自筆で署名し、押印することを勧めています。押印は、実印が望ましいとされています
- 保管し、見直す:子どもの成長や生活の変化に合わせて、見直します。「子どもの小学校入学時」「父母の再婚時」など、事情が変わりそうなタイミングで改めて話し合うことを、あらかじめ決めておくとよいとされています
作り方によって違うのは、主に、2の「話し合い」と3の「文書にする」の進め方です。
作り方1:自分たちで作る
公開されている記載例を参考に、父母で作る
父母で話し合い、文書にまとめる方法です。公的機関や支援団体が公開している記載例などを参考にします。
シンプルな記載例であれば、公的機関がひな形を公開しています。どの家庭にも必要な基本の項目を中心にまとめられていて、誰でも無料で使うことができます。Web上で案を作れる仕組みを公開している公的機関もあります。
メリット:費用をかけずに、すぐ始められる
- 作成そのものに費用がかかりません
- 思い立ったときにすぐ始められ、自分たちのペースで話し合えます
相手と落ち着いて話し合える関係であれば、最も手軽な方法といえます。
注意点:細かい取り決めや、合意の進め方は自分たちで考える
- 公開されている記載例は基本の項目が中心のため、長期休みの過ごし方、子どもの受け渡しの方法、急な病気のときの対応など、より具体的な取り決めは、自分たちで考えて書き足す必要があります
- 法律や共同養育の知識がないまま作ると、決めておくべきことに気づかないまま合意してしまうことがあります。実際に共同養育を始めてから困る細かい場面は、盲点になりやすいポイントです
- 話し合いも、すべて自分たちで進めることになります
一人で抱え込まないために:相談先を使う
自分たちで作る場合も、相談先を使うことはできます。
- 養育費・親子交流相談支援センター:養育費や親子交流についての相談を、電話(フリーダイヤル 0120-965-419)、メール、チャットで受け付けています
- お住まいの市区町村:相談窓口や、離婚前後の親向けの講座などを設けている場合があります。内容は自治体によって異なります
作り方2:専門家に頼む・支援を受ける
自分たちだけでは話し合いが進みにくいときに、専門家や第三者の力を借りる方法です。主な方法を4つ紹介します。
弁護士などに相談・依頼する
弁護士に相談すると、家庭の個別の事情に合わせた助言を受けられます。依頼すれば、相手との交渉を任せられる場合もあります。
費用の面では、法テラス(日本司法支援センター)の民事法律扶助が使える場合があります。収入や資産が一定の基準以下などの条件を満たすと、弁護士・司法書士への無料の法律相談や、弁護士費用等の立替え(あとで分割して返済)を利用できるとされています。利用できるかどうかは条件によって決まるため、法テラスにご確認ください。
ADRで、第三者に話し合いを支えてもらう
ADR(裁判外紛争解決手続)は、裁判所の外で、中立な第三者が双方の話を聴き、話し合いでの解決を支援する手続です。法務大臣の認証を受けた民間の事業者が行うものは、「かいけつサポート」と呼ばれています。
法務省のサイトでは、取り扱う紛争の分野から事業者を探せます。分野には「家事」があり、離婚、親子交流(面会交流)、養育費に関する紛争が含まれています。事業者によって、取り扱う分野や費用は異なります。また、自治体によっては、認証を受けたADRで養育費などを取り決めた費用の一部を補助している場合があります。
家庭裁判所の調停を利用する
調停は、裁判官や調停委員が間に入って行う、家庭裁判所での話し合いの手続です。離婚前であれば、夫婦関係調整調停(離婚)で、親権者、親子交流、養育費などを話し合えるとされています。離婚の後に取り決める場合も、養育費や親子交流などについて、調停を利用できます。
離婚の調停を申し立てるには、収入印紙1,200円分と、連絡用の郵便切手が必要とされています(郵便切手の額は裁判所によって異なります)。申立先は、相手の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所です。金額や手続きは変わることがあるため、申立先の家庭裁判所でご確認ください。
身の危険を感じるなど、安全・安心な話し合いが難しいときは、無理に話し合う必要はないとされています。一人で抱え込まず、専門家や相談窓口に相談してください。
公正証書にして残す
公正証書とは、公証人が作成する公文書です。法務省のパンフレットによると、養育費の取り決めを文書にしておけば、子ども1人あたり月8万円までは差押えを申し立てられ、それを超える部分には公正証書や調停調書などが必要になるとされています。2025年10月からは、手続きがデジタル化され、インターネットで依頼できる手続きなども用意されたとされています。手数料や手続きは、公証役場や専門家にご確認ください。
メリットと注意点
メリット
- 個別の事情に合わせた助言を受けられます
- 話し合いがこじれたときに、間に入ってもらえます
注意点
- 依頼する内容によっては、費用が比較的高額になりやすい方法です。弁護士費用やADRの費用の考え方は、後日別記事で解説します。
- 相談や手続きの日程を調整する手間がかかります。家庭裁判所の調停は、期日に出向く必要があり、時間がかかる場合もあります
作り方3:アプリで作る
案内に沿って、項目を選びながら作る
共同養育を支援するアプリの案内に沿って、項目を選びながら計画書を作る方法です。アプリによっては、専門家の監修を受けたテンプレートや解説がついているもの、相手と顔を合わせずに提案から合意まで進められるもの、作った計画書をアプリ内に保存して後から見直せるものがあります。
メリット:抜け漏れに気づきやすく、顔を合わせずに進められるものも
- 項目ごとの解説を読みながら選べるため、決めておくべきことに気づきやすくなります
- 相手と顔を合わせずに、提案と確認を繰り返せるものがあります。直接話すのがつらい方でも、合意を進められます
- サービスによって料金は異なりますが、専門家に依頼するよりも費用を抑えられるものもあります
注意点:相手にも同じアプリを利用してもらう必要があります
相手にも同じアプリを利用してもらう必要があります。アプリによって、機能や料金、保管の仕組みが異なるため、申し込む前に確認しておくと安心です。
3つの作り方の比較と、選び方の目安

状況別の目安
- 落ち着いて話し合え、費用を抑えたい:自分たちで作る方法が合います。相談窓口を併用すると安心です
- 個別の事情に合わせた助言や、交渉の代理がほしい:弁護士などの専門家に頼む方法が合います
- 直接会って話すのがつらいが、項目に沿って進めたい:アプリで作る方法が合います。相手がアプリを利用してくれることが前提です
- 意見が大きく対立している、話し合いが進まない:ADRや家庭裁判所の調停など、第三者が間に入る方法が合います
組み合わせてもよい
3つの作り方は、どれか1つを選ばなければいけないものではありません。次のように組み合わせることもできます。
- 記載例やアプリで案を作り、できあがった内容を専門家に確認してもらう
- 父母で合意した内容を、公正証書にする
- 合意できた項目はそのまま計画書にまとめ、まとまらない項目だけADRや調停で話し合う
- 最初は自分たちで始め、難しくなったら途中から専門家の支援に切り替える
相手と顔を合わせずに作るなら:Copakの共同養育計画書
「相手と向き合って細かく話すのは、つらい」「でも、きちんとした計画書は作っておきたい」。そうした方のために、一般社団法人 共同監護機構が提供しているのが、共同養育アプリ「Copak(コパック)」の共同養育計画書の作成機能です。アプリ内では「やくそく」という名前で表示されます。
項目ごとに選択肢から選び、合意できたところからまとめる
Copakでは、協議する項目ごとに選択肢から選び、父母が合意できた項目から計画書にまとめていきます。一方が案を作って提案し、もう一方が内容を確認して、合意できる部分は合意し、合意できない部分は代わりの案や理由を返します。この流れを、顔を合わせずに、すべてアプリ内で進められます。この仕組みは特許出願中です。
シンプルな記載例であれば、公的機関がひな形を公開しています。基本の項目をそのひな形で押さえたうえで、「相手と向き合わずに進めたい」「共同養育を始めてからの細かい運用まで決めておきたい」という方に向いているのが、Copakです。使い方の流れや機能の詳細は、後日別記事で紹介します。
共同養育を始めてから役立つ取り決めまで
Copakの共同養育計画書は、米国など海外で用いられている共同養育計画書を参考に、海外の共同親権の事例を研究して、日本向けに作られています。基本の項目に加えて、たとえば次のような、日々の運用に関わる決め方もできます。
- 子どもの受け渡し:学校への登校や下校をもって受け渡しとし、顔を合わせずに済ませる、など
- 父母のやりとりの方法:アプリを使った連絡に限る、第三者を介する、など
- 話し合いがまとまらないとき:第三者やADRを経てから裁判にする、など
- 見直しの時期:1年後や3年後など、改めて話し合う時期を決めておく、など
親権や財産分与(婚姻中に夫婦で築いた財産を、離婚のときに分けること)、養育費など、離婚協議書(離婚の条件をまとめた文書)に書く主な内容もカバーしています(年金分割は含みません)。なお、計画書で合意しただけで親権者が決まるわけではなく、離婚届や調停などで定める必要があるとされています。
Copakは、共同親権だけでなく、単独親権の場合にも対応しています。解説文とテンプレートは、弁護士事務所の監修を受けています。
電子印鑑で残し、成長に合わせて見直せる
合意した計画書には、GMOグローバルサイン株式会社の「電子印鑑ソリューションDSS byGMO」を利用して、父母それぞれの名義の電子証明書による電子印鑑と、タイムスタンプ(その時刻に文書が存在し、それ以降変更されていないことを示す技術)が付与されます。電子印鑑つきのPDFとして、Copakが保管します。誰がいつ押印し、その後書き換えられていないかを確認できる仕組みです。
子どもの成長に合わせて内容を見直すときもアプリ上で更新でき、更新すると新しいPDFが作られ、以前の版の記録も残ります。合意したあとも、共同養育カレンダーや、定型文が中心のメールで、予定の調整や連絡を同じアプリで続けられます。
専門家と組み合わせることもできる
Copakは、父母の交渉を仲介するサービスではありません。話し合いがまとまらない場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。また、合意した計画書を公正証書にしたい場合は、公証役場や、弁護士・司法書士・行政書士にご相談ください。証拠としてどのように扱われるかは、最終的には裁判所が判断します。
料金と、相手に提案する前に知っておきたいこと
共同養育計画書の作成は、一般会員(有料)の機能です。料金は1名あたり、半年プランが5,000円、年間プランが8,000円(いずれも税込)です。半年プランなら、父母2人で10,000円が目安です。子どもが2人以上でも追加料金はかかりません。
相手に利用を提案する前に、次の点を必ずご確認ください。
- 父母の双方が一般会員になる必要があります。 一方だけが一般会員でも、共同養育計画書の作成を含む一般会員の機能は使えません。申し込む前に、相手と利用するプランについて合意しておいてください。一方だけが加入した場合の返金には対応していません。
- 一般会員の期間が切れると、計画書は保管されたまま閲覧できなくなります。 期間内にダウンロードしておくことをおすすめします。なお、ダウンロードは別料金です。
相手への切り出し方に悩んでいる方は、後日別記事で紹介します。
よくある質問
途中で作り方を変えてもかまいませんか?
かまいません。たとえば、最初は自分たちで話し合い、難しくなった項目だけADRや調停に切り替える方法もあります。
アプリで作った計画書を、公正証書にできますか?
公正証書にするかどうか、また必要な書類や手続きは、取り決めの内容や公証役場によって異なります。公証役場や、弁護士・司法書士・行政書士などの専門家にご相談ください。
作ったあとに、内容を変えたくなったらどうすればよいですか?
父母で話し合って見直します。法務省は、「子どもの小中学校への入学時」「父母の再婚時」など、事情が変わりそうなタイミングで見直すことをあらかじめ決めておくと、話し合いがしやすくなるとしています。
離婚したあとからでも、作れますか?
作れます。法務省は、離婚や別居の前に作成するのが望ましいとしつつ、離婚や別居の後に作成しても構わないとしています。離婚後に作成する場合は、それまでの法定養育費をどうするかも話し合う必要があり、基本的にはいったん清算するのが望ましいと考えられるとされています。
まとめ
共同養育計画書の作り方は、大きく3つあります。
- 自分たちで作る:費用をかけずに始められる。細かい取り決めや、合意の進め方は自分たちで考える
- 専門家に頼む・支援を受ける:個別の事情に合わせた助言や、第三者の関与を受けられる。依頼内容によっては費用が比較的高額になりやすい
- アプリで作る:項目を選びながら、顔を合わせずに進められるものもある。相手にも同じアプリを利用してもらう必要がある
どれが合うかは、相手との関係や、かけられる費用・時間で変わります。組み合わせてもかまいません。合意できるところから始めて、子どもの成長に合わせて見直していきましょう。
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出典・参考資料
- 法務省「離婚・別居を考えているお父さんお母さんへ こどものための共同養育計画書」(2026年版)https://www.moj.go.jp/content/001322060.pdf
- 法務省「『離婚・別居を考えているお父さんお母さんへ こどものための共同養育計画書』について」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00194.html
- 裁判所「夫婦関係調整調停(離婚)」https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_01/index.html
- 法務省「かいけつサポート」https://www.moj.go.jp/KANBOU/ADR/ / 紛争の分野から探す https://www.moj.go.jp/KANBOU/ADR/hanisearch.html
- 法テラス「民事法律扶助業務」https://www.houterasu.or.jp/site/yasasiinihongo/fujo.html
- 法務省民事局「公正証書に係る一連の手続のデジタル化について」https://www.moj.go.jp/content/001447151.pdf
- 養育費・親子交流相談支援センター http://www.youikuhi-soudan.jp/index.html
- GMOインターネットグループ「電子印鑑ソリューションDSS byGMO」に関するプレスリリース(2026年6月3日)https://group.gmo/pdf/news/gmo_news_10049.pdf
※この記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な状況については、弁護士などの専門家にご相談ください。
