執筆:一般社団法人 共同監護機構 編集部(運営者情報)
最終更新日:2026年10月31日

「共同養育アプリを提案したら、断られてしまった」

「『アプリなんて面倒』『お金を払ってまで使いたくない』と言われた」

「返事がないまま、止まっている」

共同養育アプリを使うには、父母の双方が同じアプリを利用する必要があります。そのため、相手に断られると、そこで行き詰まってしまう方は少なくありません。なお、共同養育アプリとは、離婚前後の父母が、子どもの予定や連絡、取り決めを共有するためのアプリのことです。

ただ、断られたことは、必ずしも「共同養育そのものを拒まれた」ということではありません。費用や操作、記録が残ることへの不安など、アプリそのものへのためらいが理由の場合もあります。

この記事では、相手がアプリを使いたがらない理由の見分け方と、理由に合わせた進め方3つを紹介します。アプリ以外の方法で進める選択肢もあわせて取り上げます。

相手がアプリを使いたがらない、考えられる理由

相手が断る理由は、人によって違います。但し、一般的には、次のような理由が考えられます。

  • 費用:お金を払ってまで使いたくない。誰が払うのかが決まっていない
  • 個人情報や記録:個人情報が見られないか心配。やりとりが記録に残ることに抵抗がある
  • 操作:新しいアプリを覚えるのが面倒。スマホの操作に自信がない
  • 取り決めそのものへの気乗りのなさ:アプリ以前に、計画書や取り決めを作ること自体に乗り気でない

理由によって、次の一手が変わります

考えられる理由合う進め方
費用が気になる進め方1(不安に答える)、進め方2(費用の分担を決める)
個人情報や記録が気になる進め方1(確かめられる情報で答える)
操作が面倒・苦手進め方1、進め方2(範囲を絞って始める)
取り決めそのものに乗り気でない進め方3(アプリにこだわらない)

理由が分からないまま説得を重ねると、相手が身構えてしまうことがあります。まずは理由を知ることから始めます。

相手が共同養育アプリを使ってくれないときの進め方3つ。1 理由を聞き、不安に一つずつ答える、2 小さく始めて、条件を相手に合わせる、3 アプリにこだわらず、別の方法で進める

進め方1:理由を聞き、不安に一つずつ答える

まず「何が気になるのか」をたずねる

断られたときは、反論するより先に、理由をたずねます。「アプリが嫌」という言葉の裏にある不安は、費用だったり、記録が残ることだったりと、さまざまです。

アプリを使うのは難しそう、ということでしょうか。それとも、費用や、情報の扱いが気になりますか。気になる点を教えてもらえれば、一緒に調べます。

責める調子にならないよう、「あなたが悪い」ではなく「一緒に調べたい」という姿勢で伝えます。

不安ごとに、確かめられる情報で答える

不安に対しては、自分の説明だけで押し切らず、公式サイトの料金や「よくある質問」など、相手が自分で確かめられる情報で答えるのが安心につながります。費用なら料金表、個人情報なら開示範囲の説明を、一緒に見てみます。

相手が一人で読める説明を渡す

その場で決めてもらおうとせず、公式サイトの案内などを渡して、相手のペースで読んでもらいます。返事を急かさず、「見たうえで、使うかどうかは一緒に決めたい」と伝えます。アプリを提案された側の立場からの確認ポイントは、後日別記事で紹介します。

進め方2:小さく始めて、条件を相手に合わせる

決める範囲を絞る

最初から計画書の全項目を決めようとすると、相手は負担に感じます。まず一部の項目、例えば親子交流(離れて暮らす親と子どもが会ったり、連絡を取ったりすること)の日程や、連絡の方法など、決めやすいところから始めます。残りは、あとから足していけば構いません。

費用の分担を提案する

費用が理由なら、分担の仕方を先に決めておきます。アプリによっては、料金が1名あたりで設定されています。一方が全額を持つ、半分ずつにするなど、申し込む前に二人で話し合っておくと、あとで行き違いが起きにくくなります。

まず無料の範囲で試す

費用が理由なら、無料で使える範囲から始める方法もあります。アプリによっては無料会員があり、機能が限られる代わりに料金がかかりません。まず無料の範囲で使い心地を確かめてもらい、必要だと感じたときに有料の会員に進む、という順番にすれば、相手の負担感は小さくなります。

使う期間を決め、見直す約束をする

「ずっと使い続けなければならない」という印象が、ためらいの理由になることもあります。使う期間をあらかじめ決めて、期間が終わるころにもう一度、続けるかどうかを話し合う、と伝えます。

まず、親子交流の予定の部分だけ、アプリで決めてみませんか。使う期間は〇か月にして、そのあと続けるかどうかは、二人で改めて決めましょう。費用の分担も、申し込む前に相談させてください。

進め方3:アプリにこだわらず、別の方法で進める

アプリは、取り決めを進める方法の一つにすぎません。共同養育計画書の作成は、法律上の義務ではありません。アプリが合わない相手には、ほかの方法に切り替えても構いません。大切なのは、子どもに関する取り決めを、二人が納得できる形で進めることです。

文字(メール・書面)で進める

アプリを使わなくても、メールや書面など、文字だけでやりとりすれば、顔を合わせずに進められます。声や表情に左右されず、落ち着いて内容を確認できる点は長所です。一方で、やりとりの往復が続きやすく、相手の返信がなければ進まない点には注意が必要です。

第三者に入ってもらう(弁護士・ADR・調停)

二人だけでは難しいときは、弁護士に間に入ってもらう、ADR(裁判所の外で、中立の第三者が話し合いを支援する手続)を利用する、家庭裁判所の調停(調停委員が間に入って行う話し合い)を利用するといった方法があります(法務省)。それぞれの特徴や進め方は、離婚後の子どものこと、相手と直接話さずに決める方法|第三者・書面・アプリで紹介しています。

なお、身の危険を感じるなど、安全・安心な話合いが難しいときは、無理に話し合う必要はないとされています(法務省、政府広報オンライン)。

時間を置いて、もう一度提案する

一度断られても、それが最終的な答えとは限りません。数日から数週間あけて、時間と方法を変えて、あらためて伝えてみる方法があります。切り出し方や例文は、共同養育計画書を相手に提案するには?切り出すタイミング・伝え方と例文で紹介しています。

提案を続けるときに避けたいこと

  • 何度も催促する:返事を急かすと、相手が身構えて、かえって遠のくことがあります。
  • 子どもに伝言を頼む:子どもが父母の間で板挟みになることがあります。伝えたいことは、父母の間で、文字などの方法で伝えます。
  • 相手を責める材料にする:「アプリを使わないなんて、子どものことを考えていない」といった言い方は避けます。断る理由は、相手のためらいであって、子どもへの思いとは別のことが多いためです。

アプリで進めることに合意できたら:Copakの共同養育計画書

相手と、アプリで進めることに合意できたとき、選択肢の一つになるのが、一般社団法人 共同監護機構が提供する共同養育アプリ「Copak(コパック)」の共同養育計画書の作成機能です。アプリ内では「やくそく」という名前で表示されます。作り方の全体像と比較は、共同養育計画書の作り方3つ|自分で・専門家に頼む・アプリで作るで紹介しています。

項目ごとに選択肢から選び、合意できたところからまとめる

Copakでは、協議する項目ごとに選択肢から選び、父母が合意できた項目から計画書にまとめていきます。一方が案を作って提案し、もう一方が内容を確認して、合意できる部分は合意し、合意できない部分は代わりの案や理由を返します。この流れを、顔を合わせずに、すべてアプリ内で進められます。この仕組みは特許出願中です。使い方の流れや機能の詳細は、後日別記事で紹介します。

親権や財産分与(婚姻中に夫婦で築いた財産を、離婚のときに分けること)、養育費など、離婚協議書(離婚の条件をまとめた文書)に書く主な内容もカバーしています(年金分割は含みません)。なお、計画書で合意しただけで親権者が決まるわけではなく、離婚届や調停などで定める必要があるとされています。Copakは、共同親権だけでなく、単独親権の場合にも対応しており、離婚後からでも利用できます。

相手の不安に答えるときに伝えられること

進め方1で挙げた不安に対して、Copakでは次のように説明されています。

相手の不安伝えられること
費用が心配料金は1名あたりです。半年プランが5,000円、年間プランが8,000円(いずれも税込)。子どもが2人以上でも追加料金はかかりません。無料会員どうしで始めることもできます
個人情報が心配名前以外の個人情報は、相手に開示されません
交渉に巻き込まれそうCopakは、父母の交渉を仲介するサービスではありません。提案の内容に合意できない部分は、代わりの案や理由を返せます
やりとりが荒れそう子育て特化型のメールは定型文が中心で、改ざん・削除ができない記録が残るため、やりとりが理性的になることを促します
操作が難しそう弁護士事務所の監修を受けた解説文とテンプレートがあり、項目を選びながら作成できます
一度決めたら変えられない?計画書はアプリ内に保管されます。内容を更新すると別のPDFが作成され、以前の版の記録も残ります

無料会員どうしで始める

Copakでは、無料会員どうしでもペアを組めます。無料会員でも、共同養育カレンダー(先1か月分、テンプレート機能)、監護実績の記録、定型文のやりとりが使えます。まず無料で使い心地を確かめてから、共同養育計画書を作るタイミングで一般会員に進む、という順番にもできます。ただし、共同養育計画書の作成や子どもデータバンクなどは一般会員の機能で、使うには父母の双方が一般会員になる必要があります。

相手に提案する前に知っておきたいこと

相手にも同じアプリを利用してもらう必要があります。そのうえで、提案する前に、次の点を必ずご確認ください。

  • 父母の双方が一般会員(有料)になる必要があります。 共同養育計画書の作成は、一般会員の機能です。一方だけが一般会員でも、一般会員の機能は使えません。申し込む前に、相手と利用するプランについて合意しておいてください。一方だけが加入した場合の返金には対応していません。
  • 料金は、1名あたり、半年プランが5,000円、年間プランが8,000円(いずれも税込)です。 半年プランなら、父母2人で10,000円が目安です。費用の分担は、申し込む前に二人で話し合っておくと、あとで行き違いが起きにくくなります。

最初から、料金と、双方の登録が必要なことを正直に伝えるほうが、あとで誤解が生じにくくなります。

よくある質問

相手が無料会員のままでも、計画書を作れますか?

作れません。共同養育計画書の作成は一般会員の機能で、父母の双方が一般会員になる必要があります。一方が無料会員のままだと、もう一方も一般会員の機能は使えません。返金には対応していないため、申し込む前に、プランについて相手と合意しておいてください。まずは無料会員どうしで始めて、必要になったら一般会員に進む方法もあります。

相手がスマホの操作に慣れていない場合は、どうすればよいですか?

操作の流れは、公式サイトの案内で事前に確認できます。まず、画面の流れを一緒に見てもらい、「項目ごとに選んでいく形で、全部を一度に決めるわけではない」と伝えてみる方法があります。それでも負担が大きいときは、文字(メール・書面)や、第三者を交えた方法に切り替えても構いません。

何度提案しても応じてもらえない場合は、どうすればよいですか?

提案を重ねる回数よりも、方法を変えることを考えます。時間を置く、文字で伝える、第三者に入ってもらう、といった方法があります。いつ、何を伝えたかを手元にメモしておくと、のちに弁護士や相談窓口に相談するとき、経緯を説明しやすくなります。

アプリで決めた内容は、あとから見直せますか?

見直せます。計画書はアプリ内に電子で保管され、内容を更新すると別のPDFが作成されます。以前の版の記録も残ります。なお、一般会員の期間が切れると、計画書は保管されたまま閲覧できなくなります。期間内にダウンロードしておくことをおすすめします(ダウンロードは別料金です)。

まとめ

相手にアプリを断られたときは、次の点を意識してみてください。

  • まず理由を知る:費用、個人情報や記録、操作、取り決めへの気乗りのなさ。理由によって、次の一手が変わります
  • 進め方1:責めずに理由をたずね、確かめられる情報で不安に答える
  • 進め方2:決める範囲と使う期間を絞り、費用の分担を先に決める。無料の範囲から試す方法もある
  • 進め方3:アプリにこだわらず、文字や第三者の力を借りる。時間を置いて、もう一度提案する方法もある

まずは、「何が気になりますか」と、たずねるところから始めてみてください。

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出典・参考資料

※この記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な状況については、弁護士などの専門家にご相談ください。