執筆:一般社団法人 共同監護機構 編集部(運営者情報)
最終更新日:2026年10月20日
「離婚しても、子どものことは今までどおり2人で決めるの?」
「共同親権にしたら、何でも相手の同意が必要になるの?」
「相手と話すのもつらいのに、共同親権でやっていけるのだろうか」
2026年4月1日から、離婚後も父母の双方が親権者となる「共同親権」を選べるようになりました。言葉は聞いたことがあっても、実際に何が変わったのか、離婚を考えている自分たちに何が関わってくるのか、わかりにくいと感じている方も多いと思います。
この記事では、法務省などの公的機関の資料をもとに共同親権の仕組みをわかりやすく解説します。
- 共同親権とは何か、改正で何が変わったのか
- 共同親権と単独親権は、どのように決まるのか
- 共同親権を選ぶなら、離婚前に決めておきたいこと
共同親権とは?離婚後も父母の2人が親権者になる仕組み
そもそも「親権」とは
親権とは、子どもの利益のために、子どもの世話や教育をしたり(これを「監護・教育」といいます)、子どもの財産を管理したりする、親の権利であり義務とされています。婚姻中は父母の双方が親権者です。
2026年4月1日から、離婚後も共同親権を選べるように
改正前の民法では、離婚する際には父母のどちらか一方だけを親権者と定める必要がありました。離婚後の親権は、一方だけが持つ「単独親権」のみだったということです。
2024年5月に成立した改正法が、2026年4月1日に施行されました(施行とは、法律が実際に適用され始めることです)。これにより、離婚後も父母の双方を親権者とする「共同親権」と、父母の一方を親権者とする「単独親権」のどちらかを選べるようになりました。
| 婚姻中 | 離婚後(改正前) | 離婚後(改正後) | |
|---|---|---|---|
| 親権者 | 父母の双方 | 父母のどちらか一方(単独親権) | 父母の双方(共同親権)、または一方(単独親権) |
なぜ離婚後の共同親権が導入されたの?
法務省は、今回の改正を、親権や養育費、親子交流などの規定を見直し、子どもの利益を確保するために父母の責務を明確にするものと説明しています。
この改正の背景としては、海外の制度や子どもの権利の考え方が挙げられることもあります。
法務省が2020年に公表したG20を含む海外24か国の制度の調査結果では、離婚後に単独親権のみが認められているのはインドとトルコで、そのほかの多くの国では、単独親権だけでなく共同親権も認められているとされています。ただし、制度の中身は国によって異なります。
子どもの権利の面では、「児童の権利に関する条約」(子どもの権利条約)に、子どもの最善の利益に反する場合を除き、父母の一方または双方と離れて暮らす子どもが定期的に父母のどちらとも人的な関係と直接の接触を保つ権利を尊重することや、子どもの養育と発達について父母が共同の責任を持つという考え方が示されています。
2019年には、国連の児童の権利委員会が日本に対し、子どもの最善の利益にかなう場合に共同養育を認めるため、離婚後の親子関係に関する法令を改正するよう勧告しました。
いずれも、「子どもの最善の利益」を軸にした考え方です。共同親権が適しているかどうかは家庭ごとの事情によって異なり、虐待やDVのおそれがある場合は、後ほど説明するように、必ず単独親権とされています。
施行後の最初の1か月では、約4人に1人の子どもが共同親権に
厚生労働省の人口動態統計月報(概数)によると、2026年4月に親が離婚した未成年の子ども12,558人のうち、父母の双方が親権を行う子どもは3,103人(24.7%)でした。父が親権を行う子どもは985人(7.8%)、母が親権を行う子どもは8,454人(67.3%)です。
これは、制度が始まった最初の1か月の概数で子どもの人数で数えた割合です(離婚の件数ではありません)。1か月分の数字だけでは傾向を読み取ることはできず、共同親権を選ぶ家庭がこれからどう推移するかは、今後の統計を見守る必要があります。

共同親権か単独親権かは、どう決まる?
協議離婚では、父母の話し合いで決める
協議離婚(裁判所を通さず、父母の話し合いで成立させる離婚)では、父母の協議で共同親権にするかどちらか一方を親権者にするかを決め、離婚届に記入します。離婚届の記入欄については、離婚届の「取り決め」欄とは?2026年4月の改正点と、中身を残す共同養育計画書で解説しています。
話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所が判断する
話し合いがまとまらないときや裁判で離婚するときは、家庭裁判所が、子どもの利益のために、父母と子どもとの関係や父母の関係などの事情を考慮して、親権者を定めるとされています。その際には、父母それぞれの意見を聴き、子どもの意思を把握するよう努めるとされています。
父母だけで決められないときは、家庭裁判所の調停(裁判官や調停委員を交えた話し合いの手続)を利用することもできます。
DVや虐待のおそれがある場合は、家庭裁判所が必ず単独親権とする
次のような場合は、家庭裁判所は必ず、父母の一方を親権者と定めるとされています。
- 虐待のおそれがあると認められるとき
- DVのおそれなどによって、父母が共同して親権を行うことが難しいと認められるとき
- そのほか、共同親権とすることが子どもの利益を害すると認められるとき
DVは身体的な暴力に限られないとされています。安全に話し合うことが難しいときは、無理に話し合う必要はないとされており、相談窓口は、記事の後半でも紹介しています。
共同親権か単独親権か、どちらを選ぶかは家庭ごとに考える
どちらを選ぶべきかは、子どもの年齢や、父母の距離や関係、日々の養育のしかたなど、家庭ごとの事情によって異なります。選ぶ際の考え方は、後日別記事で解説します。
共同親権を選ぶと、何が変わる?
重要なことは2人で、日々のことは1人で決められる
共同親権では親権は父母が共同で行います。ただし、「監護・教育に関する日常の行為」と、子どもの利益のために「急迫の事情があるとき」は、父母の一方が単独で決められるとされています。
- 日常の行為の例:食事や服装、短期間の観光目的の旅行、心身に重大な影響を与えない医療、習い事、高校生のアルバイトの許可など
- 急迫の事情の例:DVや虐待からの避難、緊急の医療、入学手続の期限が迫っている場合など
一方で、子どもの転居や進学先や心身に重大な影響を与える医療、財産の管理(預金口座の開設など)は、父母が共同で決める必要があるとされています。

父母の意見が分かれて決まらないときは、家庭裁判所がその事項について親権を行使する人として父母の一方を指定できるとされています(親権行使者の指定)。
このように、「何でも相手の同意が必要になる」わけではありません。ただ、「どこまでが日常の行為か」で迷う場面もあります。具体的なトラブルと防ぎ方は、共同親権の離婚後に起きやすいトラブル4つと、取り決めで防ぐ方法で解説しています。
子育ての分担(監護の分掌)や、監護者を決めることもできる
離婚のときには、子どもの監護(日々の世話や教育)を父母でどう分担するかを定めることもできるとされています。これを「監護の分掌」といいます。たとえば、平日と週末で担当を分ける、週ごとに交代する、教育に関する決定は一方に任せてそのほかは話し合う、といった分担が考えられます。
また、共同親権の場合でも、父母の一方を「監護者」と定めることもできるとされています。監護者は、日々の監護・教育や、子どもが住む場所の決定、子どもの職業の許可などを単独で行えるとされています。定め方によって、2人で決める範囲が変わることがあるため、具体的な状況については、専門家にご相談ください。
共同親権でも、養育費の考え方は変わらない
養育費は、子どもの状況に応じて、子どもの利益の観点から定められるもので、その点は改正後も変わらないとされています。共同親権だから養育費が不要になる、ということはありません。
共同親権の他に変わったこと
今回の改正では、親権以外にも、離婚後の子育てに関わる次のような点が見直されました。
| 変わったこと | 内容 |
|---|---|
| 父母の責務 | 親権の有無や婚姻関係の有無にかかわらず、父母は子どもを養育する責務を負い、子どもの利益のために互いに人格を尊重して協力しなければならないことが明確にされた |
| 法定養育費 | 2026年4月1日以降に、養育費の取り決めをせずに離婚した場合、子どもと主に暮らす親は、もう一方の親に、子ども1人あたり月2万円を請求できる(取り決めまでの暫定的なもの) |
| 養育費の先取特権 | 養育費の取り決めを残した文書があれば、公正証書などがなくても、相手の財産の差押えを申し立てられる(子ども1人あたり月8万円まで) |
| 親子交流 | 家庭裁判所の調停や審判の手続中に、親子交流を試しに行う仕組みや、祖父母などの親族との交流に関するルールが設けられた |
| 財産分与 | 離婚後に請求できる期間が、2年から5年に延びた(2026年4月1日以降の離婚が対象) |
用語を補足しておきます。
- 法定養育費:取り決めがない場合に、法律にもとづいて請求できる、暫定的な養育費
- 先取特権:ほかの債権者より優先して支払いを受けられる権利
- 差押え:相手の給料や預金などを、裁判所の手続で強制的に取り立てる手続
- 親子交流:離れて暮らす親と子どもが会ったり、連絡を取ったりすること(これまで「面会交流」と呼ばれてきたもの)
- 財産分与:婚姻中に夫婦で築いた財産を、離婚のときに分けること
- 公正証書:公証人が作成する公文書
- 審判:家庭裁判所が、事情を調べたうえで判断を示す手続
いずれの制度にも、対象となる時期や要件があります。具体的な状況については、専門家にご相談ください。
法定養育費など、取り決めがない場合に困りやすいことは、取り決めなしで離婚すると困る場面5つと、離婚前に決めておくことで解説しています。
なお、改正法の附則(法律の本体に付け加えられる、施行日や経過措置などを定める規定)では、施行から5年をめどに、施行の状況などを踏まえて、父母の離婚後の子の養育に関する制度や支援策の在り方を検討するとされています。制度は今後も見直される可能性があるため、最新の情報は、法務省のページなどでご確認ください。
すでに離婚している場合は?
法律が施行されたからといって、すでに離婚している場合に、自動的に共同親権に変わることはありません。
施行後は、すでに離婚して単独親権となっている場合でも、子どもやその親族が家庭裁判所に申し立てることで、共同親権への変更が認められる場合があるとされています。ただし、養育費を長期間、合理的な理由なく支払っていなかった場合は認められにくいとされ、虐待やDVのおそれがある場合や、父母が共同して親権を行うことが難しい場合は認められないとされています。
詳しくは、後日別記事で解説します。
共同親権は「選んだ後」が大切:離婚前に決めておきたいこと
誰が、何を、どう決めるかは、父母で具体的に決める必要がある
ここまで見てきたとおり、法律が定めているのは、大きな枠組みです。実際の子育てでは、たとえば次のような場面で、父母の考えが食い違うことがあります。
- この習い事は、1人で決めてよいのか
- 転校のような大きな決定は、どのように相談するのか
- 平日と週末は、どちらが担当するのか
決めておかないと、そのたびに話し合う必要が生じます。話し合いがまとまらなければ、特定の事項について、家庭裁判所に親権を行使する人を指定してもらうような手続に頼ることにもなりかねません。
これは、共同親権でも単独親権でも変わりません。たとえば単独親権でも、親子交流や養育費、学校や病院の情報の共有のしかたは、取り決めておくほうが安心です。
決めたことを残す「共同養育計画書」
父母の協議で定めた監護の分担などの内容は、戸籍に記録されず、公的な文書も作成されないとされています(公正証書にすることは可能とされています)。そのため、決めた内容は、父母自身で文書に残しておくことが大切です。
その文書が、共同養育計画書です。共同養育計画書とは、離婚や別居をする父母が、離婚後の子育てについて取り決めておく文書のことです。子どもの健やかな成長のための文書であると同時に、父母が毎回の交渉やもめごとを減らし、離婚後の生活を穏やかに送るための備えにもなります。
作成は法律上の義務ではありませんが、改正後の民法で、離婚時に父母の協議で決める事項に「監護の分掌」が加わるなど、公的機関も作成を勧めています。作り方は、自分たちで作る、専門家の支援を受ける、アプリで作る、の大きく3つです。基本は、共同養育計画書とは?離婚前に作ることが勧められる理由と決める項目で詳しく解説しています。
相手と顔を合わせずに決めるなら:Copakの共同養育計画書
「取り決めは必要だとわかった。でも、相手と向き合って細かく話すのはつらい」。そうした方のために、一般社団法人 共同監護機構が提供しているのが、共同養育アプリ「Copak(コパック)」の共同養育計画書の作成機能です。アプリ内では「やくそく」という名前で表示されます。
項目ごとに選択肢から選び、合意できたところからまとめる
Copakでは、協議する項目ごとに選択肢から選び、父母が合意できた項目から計画書にまとめていきます。顔を合わせなくても、提案、確認、代わりの案の返信まで、すべてアプリ内で進められます。この仕組みは特許出願中です。
この記事で紹介した内容も、選択肢と解説を見ながら決められます。たとえば、次のような場面です。
- 親権者:共同親権にするか、父母のどちらかの単独親権にするかの確認
- 教育などの重要な決定:父母で話し合って決めるのか、一方に任せるのか
- 1人で決めたことの伝え方:事前に知らせる、事後に報告する、事前に話し合う、など
- 話し合いがまとまらないとき:第三者や、裁判所の外で中立な第三者が話し合いを支援する手続(ADR)を利用するなど、裁判の前にできること
解説文とテンプレートは、弁護士事務所の監修を受けています。合意した計画書には、父母それぞれが電子印鑑を押します。
離婚協議書に書く主な内容もカバー。単独親権にも対応
Copakの共同養育計画書は、親権や財産分与、養育費など、離婚協議書に書く主な内容もカバーしています(年金分割は含みません)。なお、計画書で合意しただけで親権者が決まるわけではなく、離婚届や調停などで定める必要があるとされています。
合意したあとも、共同養育カレンダーや定型文が中心のメールで、予定の調整や連絡を同じアプリで続けられます。
また、Copakは、共同親権だけでなく、単独親権の場合にも対応しています。親子交流や養育費、学校や病院の情報の共有のしかたなどを、取り決めておけます。なお、Copakは父母の交渉を仲介するサービスではありません。
料金と、相手に提案する前に知っておきたいこと
共同養育計画書の作成は、一般会員(有料)の機能です。料金は1名あたり、半年プラン5,000円、年間プラン8,000円(いずれも税込)で、子どもが2人以上でも変わりません。
- 父母の双方が一般会員になる必要があります。 一方だけでは一般会員の機能は使えないため、申し込む前に、相手と利用するプランについて合意しておいてください。一方だけが加入した場合の返金には対応していません。
- 一般会員の期間が切れると、計画書は閲覧できなくなります。 期間内のダウンロード(別料金)をおすすめします。
相手への切り出し方は、後日別記事で紹介します。
相手と顔を合わせずに進められるのは、Copakの大きな特長です。ただし、身の危険がある場合は、まず安全を確保し、DV相談ナビ(#8008)や法テラス・サポートダイヤル(0570-078374)にご相談ください。
よくある質問
共同親権を選ぶと、養育費は払わなくてよくなりますか?
いいえ、そうではありません。養育費は、子どもの状況に応じて、子どもの利益の観点から定められるもので、共同親権か単独親権かにかかわらず、その考え方は変わらないとされています。具体的な金額や期間は、個別の事情によって異なります。
共同親権にすると、何でも相手の同意が必要になりますか?
いいえ。日常の行為や、急迫の事情があるときは、父母の一方が単独で決められるとされています。一方で、子どもの転居や進学先、心身に重大な影響を与える医療などは、共同で決める必要があるとされています。どこまでが日常の行為にあたるかで迷う場合は、あらかじめ父母で決めておくと安心です。
共同親権にした後で、単独親権に変えることはできますか?
親権者は、子どもやその親族の請求により、家庭裁判所が必要と認めるときに変更できるとされています(共同親権から単独親権への変更を含みます)。変更が認められるかどうかは、個別の事情によって判断されます。具体的な状況については、専門家にご相談ください。
すでに離婚していても、共同親権にできますか?
法律の施行によって自動的に変わることはありませんが、家庭裁判所に申し立てることで、変更が認められる場合があるとされています。詳しくは、前の「すでに離婚している場合は?」をご覧ください。
まとめ
2026年4月1日から、離婚後も父母の双方が親権者となる共同親権を選べるようになりました。施行後最初の1か月(2026年4月)では、親が離婚した未成年の子どものうち、約4人に1人が、父母の双方が親権を行う形でした。ただし、これは制度が始まった最初の1か月の数字で、今後の動向を見守る必要があります。
- 共同親権でも、日々のことは1人で、重要なことは2人で決める。意見が分かれたときは、家庭裁判所が決める人を指定できる
- 虐待やDVのおそれがある場合は、家庭裁判所は必ず単独親権と定める
- 共同親権は「選んだ後」が大切。誰が何をどう決めるかを、離婚前に共同養育計画書として残しておく
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出典・参考資料
- 法務省「民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00357.html
- 法務省「父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました」(2026年1月改訂) https://www.moj.go.jp/content/001449160.pdf
- 民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号) https://www.moj.go.jp/content/001419097.pdf
- 関係府省庁等連絡会議「Q&A形式の解説資料(民法編)」 https://www.moj.go.jp/content/001462991.pdf
- 政府広報オンライン「離婚後も『共同親権』が選択可能に。改正された子育てに関するルール」 https://www.gov-online.go.jp/article/202607/entry-11439.html
- 政府広報オンライン「法定養育費 取決めがなくても請求できる暫定的な養育費」 https://www.gov-online.go.jp/article/202607/entry-11412.html
- 厚生労働省「人口動態統計月報(概数)(令和8(2026)年4月分)」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/m2026/04.html
- 法務省民事局「父母の離婚後の子の養育に関する海外法制調査結果の概要」(2020年4月) https://www.moj.go.jp/content/001318629.pdf
- 外務省「児童の権利に関する条約」全文 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/zenbun.html
- 国連 児童の権利委員会「日本の第4回・第5回政府報告に関する総括所見」(2019年、外務省仮訳) https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100078749.pdf
※この記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な状況については、弁護士などの専門家にご相談ください。
