執筆:一般社団法人 共同監護機構 編集部
最終更新日:2026年11月6日

「離婚協議書って、本当に作らないといけないの?」

「口約束で済ませてはだめ?」

「共同養育計画書という書面も聞くけれど、離婚協議書と何が違うの?」

離婚の話し合いが進むと、決めたことを書面に残す方法がいくつも目に入ってきて、どれを選べばよいのか迷う方は少なくありません。

この記事では、取り決めの残し方として「口約束」「離婚協議書」「共同養育計画書」の3つを取り上げ、それぞれの違いと、家庭の状況に応じた使い分けの考え方を整理します。離婚協議書の書き方そのものは離婚協議書の書き方|書いておきたい主な10項目と、作るときの注意点で、共同養育計画書の中身は共同養育計画書とは?離婚前に作ることが勧められる理由と決める項目で詳しく解説しています。この記事では「どう選ぶか」に絞ってお伝えします。

口約束のまま離婚すると、何が起きやすい?

決めたはずのことを、後から確かめられない

離婚のときに「養育費は毎月払う」「子どもとは定期的に会えるようにする」と話がまとまっても、書面に残さないと、時間がたつにつれて「そんな約束はしていない」「金額はもっと少なかったはず」と、記憶が食い違いやすくなります。

金額や支払日、受け渡しの方法があいまいなままだと、毎回の連絡のたびに話し合いが必要になり、やりとりそのものが負担になることもあります。離婚後は生活が変わり、相手と話すこと自体が難しくなる場合もあります。離婚のときに決めた内容を、どちらも後から見返せる形にしておくことが、将来の行き違いを減らすことにつながります。

取り決めがないまま離婚した場合に困る場面は、取り決めなしで離婚すると困る場面5つと、離婚前に決めておくことで具体的に紹介しています。

公的機関も「口約束ではなく、書面に」と勧めている

法務省は「離婚を考えている方へ」のページで、養育費について、金額、支払期間、支払時期、振込先などを具体的に決め、口約束ではなく書面に残すよう呼びかけています。

一方で、父母の話し合いで決めた監護の分担などの内容は、戸籍に記録されず、公的な文書も作成されないとされています(関係府省庁等連絡会議「Q&A形式の解説資料(民法編)」)。離婚届を出しただけでは、決めた中身は残りません。話し合った内容は、自分たちで書面にしておく必要があります。

2026年4月の改正で、書面の意味が増えた

2026年4月の民法等の改正では、養育費の取り決めの際に父母間で作成した文書に基づいて、差押えの手続を申し立てられるようになったとされています(養育費の先取特権。先取特権とは、ほかの債権より優先して支払いを受けられる権利のことで、差押えとは、支払われない場合に相手の財産などから支払いを受けるための手続きのことです)。どのような書面が手続きに使えるかは、専門家にご確認ください。

また、取り決めをしていない場合の「法定養育費」は、取り決めをするまでの暫定的なものとされ、各自の収入などを踏まえた適正な額を取り決めることが重要とされています。法定養育費や先取特権の詳しい内容は、離婚協議書の書き方|書いておきたい主な10項目と、作るときの注意点で解説しています。

取り決めの残し方は3つ|口約束・離婚協議書・共同養育計画書

取り決めの残し方は、大きく分けて「口約束」「離婚協議書」「共同養育計画書」の3つがあります。それぞれの特徴を並べてみましょう。

取り決めの残し方3つの比較。口約束、離婚協議書、共同養育計画書を、書面に残るか、扱う範囲、見直し、後から確認できるかで並べた表
  • 口約束:書面は残りません。手間はかからない一方、内容を後から確かめにくく、記憶の食い違いが起きやすい方法です。
  • 離婚協議書:協議離婚で合意した内容を書面にしたものです。親権、養育費、財産分与など、離婚時の取り決め全般を残します。一般的には、離婚時に確定し、基本的に更新しません。
  • 共同養育計画書:離婚後の子育てについて、父母が話し合って決めたことをまとめた書面です。子どもの暮らし、交流、学校や医療の決め方など、子どもの取り決めを細かく残し、子どもの成長に合わせて見直していきます。

離婚協議書も共同養育計画書も、作成は法律上の義務ではありません。ただ、話し合いだけで離婚できる日本だからこそ、決めたことを文書に残しておくことが大切だといえるでしょう。

書面は、さらに公正証書にする選択肢もあります。公正証書とは、公証役場で公証人が作成する公文書です。法務省は、一定の条件を満たす公正証書にしておくと、約束どおりに支払われない場合に、強制執行(裁判所の手続きを通じて支払いを実現する方法)の手続きを取りやすくなると説明しています。公正証書にする流れは、後日別記事で解説します。

離婚協議書と共同養育計画書の違い

離婚協議書と共同養育計画書は、一般的には次のように使い分けられます。

扱う範囲:離婚時の取り決め全般か、子どものことか

離婚協議書は、離婚の合意、親権、養育費、財産分与、年金分割など、離婚時の取り決め全般を対象にします。お金と財産の取り決めが中心に入る点が特徴です。

共同養育計画書は、子どもの取り決めに絞って、より細かく決めておく書面です。子どもが暮らす場所や養育の分担、親子交流、学校や医療の決め方、父母の連絡の取り方などを書きます。

見直し:離婚時に確定するか、成長に合わせて見直すか

離婚協議書は、離婚時に確定して、基本的に更新しない書面として使われるのが一般的です。

一方、子どもの生活は、進学や引っ越し、習い事など、成長とともに変わっていきます。共同養育計画書は、そうした変化に合わせて見直していくことを前提にした書面です。法務省の資料でも、計画書を作るにあたって父母が確かめておくこととして、成長に応じて見直しを話し合えるかどうかが挙げられています。

共同親権では「一緒に決める」場面が増える

共同親権では、進学や転居、重大な医療など、子どもに関わる重要なことを父母が一緒に決める場面があります。離婚協議書には「子どもの重要なことは協議して決める」と1〜2行で書くことはできますが、誰がどこまで決められるのか、意見が分かれたときにどうするのかまで書こうとすると、離婚協議書の中に収めるのは難しくなりがちです。

そうした場面の取り決めを細かく残しておくのに、共同養育計画書が向いているといえます。共同親権で起きやすいトラブルは、共同親権の離婚後に起きやすいトラブル4つと、取り決めで防ぐ方法で紹介しています。

どう使い分ける?3つの考え方

どれが正解ということはなく、家庭の状況によって、合う形は変わります。一般的に考えられる使い分けを、3つ紹介します。

1. 2通に分けて作る

お金と財産の取り決めは離婚協議書、子どもの取り決めは共同養育計画書、と役割を分ける方法です。離婚協議書は離婚時に確定させ、共同養育計画書は子どもの成長に合わせて見直していけます。子どもがいる家庭では、よく考えられる形です。

注意点は、2通で内容が食い違わないようにすることです(次の章で触れます)。

2. 1通にまとめる

離婚協議書の中に、子どもの取り決めも書き込む方法です。書面が1通で済むため、管理は簡単です。一方、子どもの取り決めを見直すたびに、お金や財産の取り決めも含めた書面全体を作り直すことになる点には注意が必要です。取り決める項目が少なくて済む家庭では、この形でも足りる場合があると考えられます。

3. 離婚後に作る・見直す

離婚の時点では離婚協議書で必要なことを決めておき、共同養育計画書は離婚後に作る、または見直す方法もあります。法務省の資料では、共同養育計画書は離婚や別居の前に作成するのが望ましいものの、後に作成しても構わないとされています。すでに離婚している場合でも、父母が合意できれば作ることはできます。

ただ、離婚後は相手と話し合う機会が減りがちです。作成の時期は、早い方が進めやすいと考えられます。

どの形を選ぶ場合も、相手と話し合って合意することが前提になります。相手からの暴力や暴言があるなど、安全・安心な話合いが難しいときは、無理に話し合う必要はないとされています(法務省、政府広報オンライン)。家庭裁判所の調停や、第三者が間に入る話し合い(ADR)、弁護士への相談といった方法があります。相手と直接顔を合わせずに決める方法は、離婚後の子どものこと、相手と直接話さずに決める方法|第三者・書面・アプリで解説しています。

2通作るときに確かめておきたいこと

2通に分けて作る場合は、次の点を確かめておくと安心です。

  • 内容が食い違わないようにする:養育費の金額や支払日、終期などは、2通に重ねて書くことがあります。片方だけを更新して食い違うことのないよう、重なる項目は「どちらの書面を基準にするか」を決めておきましょう。
  • 親権者は書面だけでは決まらない:親権者は、離婚届(話し合いがまとまらない場合は家庭裁判所の手続き)で定めます。どちらの書面に書いても、それだけで親権者が決まるわけではありません。書面の内容と離婚届の記載が食い違わないようにしましょう。

書面の作り方と、Copakアプリで作る方法

書面の作り方には、大きく分けて次の3つがあります。

  • 自分たちで作る:公的機関や支援団体が公開している記載例などを参考に、夫婦で作る方法です。費用はかかりにくい一方、どこまで具体的に決めるか、相手とどう合意するかは自分たちで考える必要があります。
  • 専門家に頼む:弁護士などに作成を依頼する方法です。法的な観点から確認してもらえる一方、依頼内容によっては費用が比較的高額になりやすいです。
  • アプリで作る:項目を選びながら作れるアプリもあります。相手にも同じアプリを利用してもらう必要があります。

それぞれの特徴は、共同養育計画書の作り方3つ|自分で・専門家に頼む・アプリで作るで比べています。

Copakアプリの共同養育計画書

Copakアプリには、共同養育計画書を作る機能があります(アプリ内では「やくそく」という名前で表示されます)。

  • 顔を合わせずに、合意できたところから作れる:協議する項目ごとに選択肢から選び、父母が合意できた項目から計画書にまとめていく仕組みです(特許出願中)。相手と直接話すのが難しい場合でも、アプリ上で提案と確認を重ねて進められます。
  • 離婚協議書に書く主な内容もカバーできる:親権、財産分与、養育費など、離婚協議書に書く主な内容を、共同養育計画書でカバーできます。
  • 決め方のイメージ:たとえば、財産分与をするかどうかと金額、養育費を固定額にするか、教育費や医療費などを分担して清算する形にするか、一定期間後に見直しの協議をすると決めておくか、といった項目を選んで決めていくことができます。
  • 単独親権にも対応:共同親権だけでなく単独親権にも対応していて、離婚後からでも利用できます。
  • 電子印鑑で残せる:合意した内容は、父母それぞれが電子印鑑を押して残せます。父母それぞれの名義の電子証明書とタイムスタンプにより、誰がいつ押印し、書き換えられていないかを確認できます。

解説文とテンプレートは、弁護士事務所の監修を受けています。

利用にあたっては、父母の双方が一般会員(有料)になる必要があります。一方だけでは使えず、返金には対応していません。一般会員の料金は、1名あたり半年5,000円、年間8,000円(税込)です。申し込む前に、プランと費用の分担を二人で話し合って決めておくと安心です。

なお、Copakは交渉の仲介を行うサービスではありません。話し合いがまとまらない場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。

まとめ

  • 口約束のままだと、決めた内容を後から確かめにくく、記憶の食い違いが起きやすくなります。公的機関も、書面に残すことを勧めています。
  • 離婚協議書は離婚時の取り決め全般を残す書面、共同養育計画書は子どもの取り決めを成長に合わせて見直していく書面、というのが一般的な整理です。
  • 使い分けは「2通に分ける」「1通にまとめる」「離婚後に作る・見直す」など、家庭の状況によって変わります。
  • 2通作る場合は、内容の食い違いを避けること、親権者は離婚届などで定めることに注意しましょう。

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よくある質問

共同養育計画書を作れば、離婚協議書は要りませんか?

どちらも法律上の義務ではなく、どちらか一方だけを作る家庭もあります。ただし、一般的には、離婚協議書は離婚時のお金や財産を含めた取り決め、共同養育計画書は子どもの取り決めを扱う書面とされ、扱う範囲が異なります。財産分与や年金分割などを書面に残したい場合は、離婚協議書も検討するとよいでしょう。具体的な状況については、専門家にご相談ください。

離婚協議書を作った後に、共同養育計画書だけ作ることはできますか?

できます。離婚協議書を作った後でも、父母が合意できれば作ることができます。法務省の資料では、離婚や別居の前に作成するのが望ましいものの、後に作成しても構わないとされています。子どもの成長に合わせて、見直しながら使っていくことができます。

2つの書面で内容が違ってしまったら、どうなりますか?

書面がどのような場面でどう扱われるかは、最終的には裁判所が判断することになるため、一概には言えません。食い違いを避けるために、重なる項目はどちらの書面を基準にするかを決めておき、内容を変更するときは両方の書面を確認しましょう。不安な場合は、専門家にご相談ください。

公正証書にするのは、どちらの書面ですか?

決まりはありません。養育費や財産分与など、お金の支払いが関わる取り決めについて、公正証書にするかどうかを検討する場合があります。公正証書にするかどうかは、支払いの内容や相手との関係などを踏まえて検討します。お金の支払いを確実にしたい場合などは、専門家に相談してみてください。

参考資料

この記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な状況については、弁護士などの専門家にご相談ください。