執筆:一般社団法人 共同監護機構 編集部
最終更新日:2026年11月4日

「離婚を考えているけれど、何を決めればいいのか、全体像が見えない」

「子どものこと、お金のこと、住む場所。考えることが多すぎて、どこから手をつければいいかわからない」

離婚を考え始めたとき、多くの人が最初に戸惑うのが、決めることの多さです。まだ離婚するかどうかを決めていない段階でも、何を決めることになるのかを知っておくと、気持ちや状況を整理しやすくなります。

この記事では、離婚のときに決めることを「子どものこと」「お金と財産のこと」「住まいと離婚後の暮らし」「名字と期限のある手続き」の4つに分けて一覧にします。2026年4月に始まった共同親権の制度や、財産分与・年金分割の期限の見直しも踏まえて整理します。

離婚で決めることは、大きく4つに分けられる

離婚で決めることの一覧。子どものこと(親権、監護の分担、養育費、親子交流、学校や医療の決め方、子どもの名字)、お金と財産のこと(別居中の生活費、財産分与、慰謝料、年金分割)、住まいと離婚後の暮らし(住む場所、持ち家と住宅ローン、家計の見通し)、名字と期限のある手続き(自分の名字は3か月以内、財産分与の申立てと年金分割の請求は5年)の4つに分けた図
  1. 子どものこと:親権、監護の分担、養育費、親子交流、学校や医療の決め方、子どもの名字
  2. お金と財産のこと:別居中の生活費、財産分与、慰謝料、年金分割
  3. 住まいと離婚後の暮らし:住む場所、持ち家と住宅ローン、離婚後の家計の見通し
  4. 名字と期限のある手続き:自分の名字、財産分与・年金分割の期限

離婚届を出すために決めておく必要があること

日本では、夫婦が話し合って合意し、離婚届を出す「協議離婚」ができます。協議離婚とは、裁判所の手続きを使わずに、夫婦の合意で離婚する方法です。

未成年の子どもがいる場合、協議離婚では、原則として父母の双方または一方を親権者と定めて届け出る必要があるとされています。親権者について話し合いがまとまらない場合でも、家庭裁判所に親権者の指定を求める調停や審判を申し立てていれば、親権者を決めないまま離婚届を出すことができるとされています(裁判所「親権者指定調停」)。

一方で、養育費や親子交流、財産分与などは、決めていなくても離婚届は受理されることになっています。ただ、決めないまま離婚すると、後から話し合うのが難しくなることがあります。離婚届に必要かどうかといった観点とは別に、一つひとつ自分の目で確認しておくことが大切です。

子どものことで決めること

親権と、子どもの監護の分担

親権とは、子どもの世話や教育をしたり、子どもの財産を管理したりする権利であり義務です。2026年4月からは、離婚後も父母の双方を親権者とする「共同親権」か、一方を親権者とする「単独親権」かを、父母の話し合いで決めることができるとされています。話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所が子どもの利益の観点から判断するとされています(政府広報オンライン)。

あわせて、子どもが主にどちらの家で暮らすか、平日と週末でどう分担するかといった、子どもの世話の分担も決めておきます。改正後の民法では、離婚のときに協議で定める事項として「監護の分掌(ぶんしょう)」が加わりました。監護の分掌とは、子どもの世話をする期間を父母で分けたり、教育などの一部を一方に任せたりする取り決めのことです。

共同親権の制度については、共同親権とは?2026年4月施行の制度と、離婚前に決めておきたいことで解説しています。

養育費

養育費は、子どもが自立するまでの生活や教育にかかる費用です。金額、支払日、支払方法、いつまで支払うかを決めます。

2026年4月1日以降に離婚した場合、取り決めがなくても、子どもと主に暮らす親は、離れて暮らす親に対して、子ども1人あたり月額2万円の「法定養育費」を請求できるとされています。ただし、これは取り決めをするまでの暫定的なもので、各自の収入などを踏まえた適正な額を取り決めることが重要とされています(法務省民事局のパンフレット)。

養育費の決め方は、後日別記事で解説します。

親子交流(面会交流)

親子交流とは、子どもと離れて暮らす親が、子どもと会ったり連絡を取ったりすることです(以前は「面会交流」と呼ばれていました)。会う頻度や時間、子どもの受け渡しの場所と方法、長期休みや行事の過ごし方などを決めます。

学校・医療など、大事なことの決め方

共同親権の場合、進学や転居、重大な医療など、子どもにとって大事なことは、父母が一緒に決める場面が増えます。意見が分かれたときにどう決めるか、日常のことはどちらが決めるかを、あらかじめ話し合っておくと安心です。

単独親権の場合も、学校からのお知らせや成績をどう共有するか、進学や転居をどう知らせるかを決めておくと、離れて暮らす親との関わり方がわかりやすくなります。

こうした場面のトラブルは、共同親権の離婚後に起きやすいトラブル4つと、取り決めで防ぐ方法で紹介しています。

子どもの名字と戸籍

父母が離婚して、どちらかが結婚前の名字に戻っても、子どもの名字は結婚生活のときのままとされています。子どもの名字を親の結婚前の名字に変えるには、家庭裁判所の許可(子の氏の変更)が必要です(法務省「離婚を考えている方へ」)。

子どもが15歳未満で共同親権の場合は、原則として父母が連名で申し立てる必要があるとされています(裁判所「子の氏の変更許可」)。子どもの名字や、どちらの戸籍に入るかについても、離婚の前に話し合っておくとよいでしょう。

お金と財産のことで決めること

別居中の生活費(婚姻費用)

離婚の前に別居する場合でも、離婚が成立するまでは、原則として夫婦は生活費を分担しなければならないとされています。この生活費を「婚姻費用」といい、衣食住にかかる費用や医療費のほか、自立していない子どもの養育費も含まれます(法務省「離婚を考えている方へ」)。別居を考えている場合は、別居中の生活費をどうするかも決めておく必要があります。

財産分与

財産分与とは、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産を、離婚のときに分け合う制度です。夫婦の協力によって形成された財産であれば、名義にかかわらず対象になるとされています(法務省「離婚を考えている方へ」)。

話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に調停や審判を申し立てることができます。2026年4月1日以降に離婚した場合、申立てができるのは、離婚した日の翌日から5年以内とされています(それより前に離婚した場合は2年。裁判所「財産分与請求調停」)。

慰謝料(ある場合)

慰謝料とは、精神的な苦痛に対して支払われるお金です。すべての離婚で発生するものではありません。また、様々な事情を考慮して「解決金」という形で扱われることもあります。支払うことにした場合は、金額や支払方法、期限を決めます。

年金分割

年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金の記録を、離婚した夫婦で分ける制度です。請求は年金事務所で行い、請求期限は原則として離婚した日の翌日から5年です(2026年4月1日より前に離婚した場合は2年。日本年金機構)。

お金と財産の取り決めは、どの財産をどう評価し、どう分けるかによって、家庭ごとに大きく異なります。迷う場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。財産分与・慰謝料・年金分割の詳しい決め方と注意点は、後日別記事で解説します。

住まいと離婚後の暮らしで決めること

誰がどこに住むか

離婚後に、誰がどこに住むかを決めます。子どもがいる場合は、通っている学校や園のこと、子どもの生活がどう変わるかもあわせて考えることになります。

持ち家と住宅ローン

持ち家がある場合は、売るのか、どちらかが住み続けるのか、名義や住宅ローンの支払いを誰が担うのかを話し合います。住宅ローンは金融機関との契約でもあるため、夫婦の話し合いだけでは決めきれないこともあります。名義を変える登記の手続きは、司法書士などの専門家に相談するのが一般的です。

離婚後の家計の見通し

離婚後の収入と支出の見通しは、ほかの取り決めの前提になります。養育費や財産分与の取り決めは、離婚後の家計と深く関わるためです。ひとり親家庭(母子家庭・父子家庭)向けの手当や支援もあるため、住む予定の自治体の窓口で確かめておくと安心です。

自分の名字と、期限のある手続き

結婚のときに名字を変えた人は、離婚すると原則として結婚前の名字に戻ります。結婚中の名字を使い続けたい場合は、離婚の日から3か月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」を出す必要があるとされています。この期間を過ぎた後は、家庭裁判所の許可が必要になります(大田区など自治体の案内)。

離婚に関わる手続きには、このように期限があるものがあります。

手続き期限の目安窓口
結婚中の名字を使い続ける届離婚の日から3か月以内市区町村
財産分与の調停・審判の申立て離婚の翌日から5年以内(2026年3月31日以前の離婚は2年)家庭裁判所
年金分割の請求原則として離婚の翌日から5年以内(2026年3月31日以前の離婚は2年)年金事務所

期限は、離婚した日や事情によって変わることがあります。詳しくは各窓口でご確認ください。

決めないまま離婚すると、困りやすいこと

離婚届を出せたとしても、子どもやお金のことを決めないまま離婚すると、後から困る場面が出てきます。

  • 「そんな約束はしていない」と、記憶の食い違いが起きる
  • 養育費の金額や支払日があいまいで、そのたびに確認が必要になる
  • 親子交流や長期休みのたびに、相手と一から話し合うことになる
  • 期限のある手続きを、知らないうちに過ぎてしまう

離婚から時間がたつほど、相手と話し合うのは難しくなりがちです。具体的な場面は、取り決めなしで離婚すると困る場面5つと、離婚前に決めておくことで紹介しています。

話し合いの進め方は1つではない

決めることが多いからこそ、すべてを一度に決めようとしなくてもかまいません。合意できるところから決めて、少しずつまとめていく方法もあります。

話し合いの進め方には、主に次のような選択肢があります。

  • 夫婦で話し合う:自分たちのペースで進められます。
  • 第三者に間に入ってもらう:家庭裁判所の調停(調停委員が間に入って話し合いを進める手続き)や、ADR(裁判所の外で、中立な第三者が話し合いを支援する手続き)があります。
  • 専門家に相談する:弁護士のほか、収入などの条件によっては法テラスの無料法律相談も利用できます。

相手からの暴力や暴言があるなど、安全・安心な話合いが難しいときは、無理に話し合う必要はないとされています(法務省、政府広報オンライン)。

相手と直接顔を合わせずに決める方法は、離婚後の子どものこと、相手と直接話さずに決める方法|第三者・書面・アプリで解説しています。協議離婚全体の進め方は、後日別記事で解説します。

決めたことは書面に残す:離婚協議書と共同養育計画書

決めたことは、話し合いで終わらせず、書面に残しておくことが大切です。2026年4月から、離婚届には子どもの取り決めについて答える欄がありますが、取り決めの中身を書く場所ではありません(法務省「離婚届のチェック欄の集計結果」)。公的機関の解説資料でも、父母の話し合いで決めた監護の分担などは戸籍に記録されず、公的な文書も作られないとされています(関係府省庁等連絡会議「Q&A形式の解説資料(民法編)」)。

書面には、主に次の2つがあります。

  • 離婚協議書:離婚の合意、親権、養育費、財産分与など、離婚のときの取り決め全般を残す書面です。一般的には、離婚時に確定し、基本的に更新しません。
  • 共同養育計画書:子どもの暮らし、親子交流、学校や医療の決め方など、離婚後の子育ての取り決めを残す書面です。一般的には、子どもの成長に合わせて見直していきます。

どちらも、作成は法律上の義務ではありません。ただ、話し合いだけで離婚できる日本だからこそ、決めたことを文書に残しておくことが、子どもと自分の生活を守ることにつながります。共同養育計画書は、公的機関も作成を勧めています。

離婚協議書の書き方は離婚協議書の書き方|書いておきたい主な10項目と、作るときの注意点で、共同養育計画書については共同養育計画書とは?離婚前に作ることが勧められる理由と決める項目で詳しく解説しています。

子どものこととお金の主な項目を、Copakアプリでまとめる

共同養育計画書は、Copak(コパック)アプリで作ることもできます。Copakアプリは、一般社団法人 共同監護機構が提供する、離婚前後の父母のための共同養育アプリです。共同養育計画書の作成機能は、アプリ内では「やくそく」という名前で表示されます。

協議する項目ごとに選択肢から選び、父母が合意できた項目から計画書にまとめていく仕組みです(この仕組みは特許出願中です)。相手と顔を合わせずに、提案から合意までアプリの中で進められます。たとえば、次のような決め方もできます。

  • 財産分与をするかどうか、するならどちらからどちらに分与するか
  • 入学や転校など教育に関する大事なことを、父母で話し合って決めるか、一方が決めるか
  • 学校から成績表を受け取ったときに、いつまでに相手と共有するか

親権・財産分与・養育費など、離婚協議書に書く主な内容も、共同養育計画書でカバーできます(年金分割は含みません)。なお、計画書で合意しただけで親権者が決まるわけではありません。親権者は、離婚届(話し合いがまとまらない場合は家庭裁判所の手続き)で定めます。

合意した計画書には、父母それぞれが電子印鑑を押します。解説文とテンプレートは、弁護士事務所の監修を受けています。単独親権にも対応しており、離婚後からでも利用できます。合意した後は、共同養育カレンダーや定型文のメールなど、離婚後の子育ての連絡にも同じアプリを使えます。なお、Copakは交渉を仲介するサービスではありません。

相手に提案する前に、次の点をご確認ください。

  • 共同養育計画書の作成は、一般会員(有料)の機能です。料金は1名あたり、半年プランが5,000円、年間プランが8,000円(いずれも税込)です。
  • 父母の双方が一般会員になる必要があります。 一方だけでは使えず、その場合の返金にも対応していません。申し込む前に、相手と利用するプランについて合意しておいてください。
  • 一般会員の期間が切れると、計画書は保管されたまま閲覧できなくなります。期間内のダウンロードをおすすめします(ダウンロードは別料金です)。

まとめ

  • 離婚で決めることは、子どものこと、お金と財産のこと、住まいと離婚後の暮らし、名字と期限のある手続きの4つに分けると整理しやすくなります。
  • 未成年の子どもがいる協議離婚では、原則として親権者を定めて届け出ます。それ以外の取り決めも、離婚の前に確認しておくと安心です。
  • 財産分与の申立てと年金分割の請求は原則5年、結婚中の名字を使い続ける届は3か月以内など、期限のある手続きがあります。
  • 決めたことは、離婚協議書や共同養育計画書で書面に残しておきましょう。

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よくある質問

離婚届を出すまでに、すべて決めないといけませんか?

未成年の子どもがいる協議離婚では、原則として親権者を定めて届け出る必要があります。養育費や財産分与などは、決めていなくても離婚届は受理されることになっています。ただ、離婚後に話し合うのは難しくなりがちなため、できるだけ離婚の前に決めておくと安心です。

まだ離婚するか迷っている段階で考えてもいいですか?

かまいません。何を決めることになるかを知っておくと、離婚した場合の生活を具体的に思い描きやすくなります。考えを整理するための材料の一つとして使ってみてください。

話し合いがまとまらないときは、どうすればよいですか?

家庭裁判所の調停や、ADRを利用する方法があります。弁護士や法テラス、養育費・親子交流相談支援センターなどにも相談できます。

子どもがいない場合は、何を決めますか?

子どものことを除いた、お金と財産、住まい、名字などが中心になります。財産分与の申立てや年金分割の請求には期限があるため、早めに確認しておきましょう。

離婚した後に決めても間に合いますか?

離婚した後でも、夫婦が合意すれば、取り決めをしたり書面を作ったりすることはできます。ただし、財産分与の申立てや年金分割の請求には、原則として離婚から5年の期限があります(2026年3月31日以前の離婚は2年)。共同養育計画書も、離婚した後から作ることができます。

参考資料

この記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な状況については、弁護士などの専門家にご相談ください。