執筆:一般社団法人 共同監護機構 編集部(運営者情報)
最終更新日:2026年11月4日

「離婚が頭をよぎった。でも、何から手をつければいいのかわからない」

「まだ離婚すると決めたわけではないのに、誰かに話してもいいのだろうか」

「子どものことも、お金のことも、考えることが多すぎる」

離婚を考え始めたとき、多くの人が最初に戸惑うのは、決めることの多さと、「どこまで考えてよいのか」という迷いではないでしょうか。

この記事では、離婚を勧めることも、止めることもしません。離婚するかどうかを決める前の段階で、無理なくできる準備を、5つのステップに整理しました。あわせて、別居を考えている方に向けて、別居中の生活費と親子交流について、公的機関が説明している内容も紹介します。

共同親権での離婚に不安がある方は、共同親権の離婚、何が不安?4つの不安と離婚前の準備もあわせてご覧ください。

離婚を考え始めたときに、まず知っておきたいこと

情報を集めることは、離婚を決めることとは別です

離婚について調べたり、整理したりすることは、離婚を決めることではありません。迷っている段階で情報を集め、自分の状況を整理しておくことは、続けるにしても、離れるにしても、後悔の少ない選択をするための土台になります。結論を急ぐ必要はありません。

日本では、話し合いだけで離婚できます

日本では、夫婦が話し合って合意し、離婚届を出す「協議離婚」ができます。協議離婚とは、裁判所の手続きを使わずに、夫婦の合意で離婚する方法です。協議離婚全体の進め方は、後日別記事で解説します。

話し合いだけで離婚できるということは、子ども・お金・住まいなどについて何をどう決めるかを、夫婦自身が決めることになる、ということでもあります。公的機関の解説資料によると、父母の協議で定めた子どもの世話の分担などは、戸籍に記録されず、公的な文書も作成されないとされています(公証人が作成する公文書である公正証書にすることは可能とされています)。決めたことを残す方法も含めて、考え始めの段階から全体像を知っておくことには意味があります。

離婚を考え始めたときに最初にやること5つ

離婚を考え始めたら最初にやること5つ。気持ちと状況を書き出す、家計とお金の今を把握する、子どもの毎日を思い描く、決めることの全体像を知る、相談先を知っておく

進める順番は、次の5つです。順番どおりでなくてもかまいません。できるところから進めてください。

  1. 気持ちと状況を書き出す
  2. 家計とお金の「今」を把握する
  3. 子どもの毎日を思い描く
  4. 決めることの全体像を知る
  5. 相談先を知っておく

1. 気持ちと状況を書き出す

何がつらいのか、何が変われば続けられそうか、離婚を考えるきっかけは何だったのか。頭の中だけで考えていると、同じところを行ったり来たりしやすくなります。紙やスマートフォンのメモに書き出すと、気持ちや状況を整理しやすくなります。書き出したメモは、ほかの人に見られない場所で保管すると安心です。

夫婦関係の修復を考えている場合は、家庭裁判所の調停(裁判官や調停委員が間に入って行う、家庭裁判所での話し合いの手続)のうち、「夫婦関係調整調停(円満)」を利用する方法があります。円満な夫婦関係を回復するための話合いをする手続で、離婚した方がよいかどうか迷っている場合にも利用できるとされています。申立てには、収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手が必要とされています(郵便切手の額は裁判所によって異なります)。手続の詳しい内容は、申立先の家庭裁判所でご確認ください。

2. 家計とお金の「今」を把握する

離婚するかどうかにかかわらず、家計の現状を知っておくことは、先々の選択肢を考える土台になります。たとえば、次のようなことを、ご自身が把握できる範囲で書き出します。

  • 世帯の毎月の収入と支出(家賃、ローン、保険料、教育費など)
  • 貯蓄、ローン、保険など、家計に関わる契約の種類
  • 自分自身の収入と、今後の働き方の見通し

離婚後の収入と支出の見通しは、養育費(子どもが自立するまでの生活や教育にかかる費用)や、財産分与(婚姻中に夫婦で築いた財産を、離婚のときに分けること)などを話し合うときの前提になります。ひとり親家庭(母子家庭・父子家庭)向けの手当や支援もあるため、お住まいの市区町村の窓口で確かめておくと安心です。

相手の収入や財産について、どこまで確認できるか、どのように資料をそろえるかは、状況によって注意点が異なります。迷う場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。

財産分与や、年金分割(婚姻期間中の厚生年金の記録を、離婚した夫婦で分ける制度)には、期限があります。詳しくは、離婚で決めることの一覧|子ども・お金・住まいで整理する主な項目と期限で紹介しています。

3. 子どもの毎日を思い描く

子どもがいる場合は、離婚するかどうかにかかわらず、子どもの毎日がどう続くのかを具体的に思い描いてみてください。

  • 通っている学校や園、習い事、かかりつけの病院
  • 朝から夜までの一日の流れ、送り迎えや食事、寝る場所
  • 子どもと離れて暮らす親と、どのように関わり続けるか(会う、電話、ビデオ通話など)

離婚後は、親権(子どもの世話や教育をしたり、子どもの財産を管理したりする権利であり義務)を父母の双方が持つ「共同親権」か、一方だけが持つ「単独親権」かを、話し合いで選べるようになりました(2026年4月から)。制度の全体像は、共同親権とは?2026年4月施行の制度と、離婚前に決めておきたいことで解説しています。

子どもに離婚をどう伝えるかは、後日別記事で紹介します。なお、法務省のパンフレットでは、親子交流(子どもと離れて暮らす親が、子どもと会ったり連絡を取ったりすること)の説明の中で、子どもの前で言い争いを避けることや、父母の間で話し合うべきことを子どもに伝言させないことが呼びかけられています。

4. 決めることの全体像を知る

離婚のときに決めることは、大きく4つに分けられます。

  • 子どものこと:親権、子どもの世話の分担、養育費、親子交流、学校や医療などの大事なことの決め方、子どもの名字
  • お金と財産のこと:別居中の生活費、財産分与、慰謝料(精神的な苦痛に対して支払われるお金)、年金分割
  • 住まいと離婚後の暮らし:誰がどこに住むか、持ち家と住宅ローン、離婚後の家計の見通し
  • 名字と期限のある手続き:自分の名字、財産分与や年金分割の期限

法務省の「離婚を考えている方へ」では、離婚後の自分の生活や、まだ自立していない子どもの将来のために考えておいてほしいことが、親権・養育費・親子交流・財産分与の項目ごとに案内されています。どれも、離婚するかどうかを決める前に知っておくと、考える材料が増えます。それぞれの項目の内容は、離婚で決めることの一覧|子ども・お金・住まいで整理する主な項目と期限で一覧にしています。

5. 相談先を知っておく

誰かに話すこと自体が、整理の助けになります。主な相談先は次のとおりです。相談先ごとに、対応できる内容が異なります。

  • 法務省「離婚を考えている方へ」:離婚前・離婚後に考えておくことを、親権、養育費、親子交流、財産分与の項目ごとに案内しています。
  • 法テラス(日本司法支援センター):収入や資産が一定の基準以下などの条件を満たすと、民事法律扶助により、無料の法律相談や、弁護士費用等の立替えを利用できるとされています。
  • 養育費・親子交流相談支援センター:養育費や親子交流について、電話・メール・チャットで相談できます。相談員は弁護士ではなく、法的な問題は法テラスなどが案内されます。
  • 家庭裁判所:夫婦関係調整調停(円満・離婚)や、婚姻費用の分担請求調停などの手続があります。
  • かいけつサポート(認証ADR):法務大臣の認証を受けた民間事業者が、中立な第三者として話し合いを支援します(ADRは、裁判所の外で行う話し合いによる解決の手続です)。分野に「家事」があり、離婚、親子交流、養育費に関する紛争が含まれています。
  • お住まいの市区町村:ひとり親家庭向けの支援や、相談窓口があります。内容は自治体によって異なります。

この記事の内容は一般的な情報です。個別の事情に応じた法的な判断や、相手との交渉の代理は、弁護士などの専門家の役割ですので、必要に応じてご相談ください。

相手と直接顔を合わせずに話を進める方法は、離婚後の子どものこと、相手と直接話さずに決める方法|第三者・書面・アプリで解説しています。

相手からの暴力や暴言があるなど、安全・安心な話合いが難しいときは、無理に話し合う必要はないとされています(法務省、政府広報オンライン)。一人で抱え込まず、上の相談先を利用してください。

別居を考えている場合に、知っておきたいこと

離婚の前に、別居を考える方もいます。ここでは、公的機関が説明している「別居中の生活費」と「別居中の親子交流」の2点だけを紹介します。別居するかどうか、どのように進めるかは、ご家庭の事情によって大きく異なり、お子さんがいる場合は、子どもの暮らしにも大きく関わります。この記事では、別居の進め方には触れません。具体的な状況については、弁護士などの専門家や、お住まいの地域の相談窓口にご相談ください。

別居中の生活費(婚姻費用)

別居している場合でも、離婚が成立するまでは、原則として夫婦は生活費を分担しなければならないとされています。この生活費を「婚姻費用」といい、衣食住にかかる費用や医療費のほか、自立していない子どもがいる場合は、子どもの養育費も含まれます(法務省)。

話し合いがまとまらない場合や、話し合いができない場合は、家庭裁判所に、婚姻費用の分担を定める調停または審判を申し立てることができます。調停では、調停委員会が双方から事情を聴き、収入や資産などの資料の提出を促しながら、裁判所が公表している算定表(標準的な養育費・婚姻費用の額を簡易迅速に算定するための表)も参考にして、合意を目指して話し合いが進められるとされています。算定表の令和元年版は、2019年12月23日に公表されました。金額は個別の事情によって変わるため、この記事では目安の金額は示しません。

別居中の親子交流

子どもと離れて暮らす親と子どもとの交流(親子交流)は、離婚後だけでなく、結婚したまま別居している場合(婚姻中別居)についても、2026年4月に施行された改正民法で、父母の協議で定めることが明確にされたとされています(民法817条の13)。協議が調わないときなどには、家庭裁判所の手続を利用できるとされています。

親子交流の頻度や受け渡し、連絡の取り方などの決め方は、後日別記事で解説します。

別居中に決めたことも、書き留めておく

別居中に、生活費や子どもの世話の分担、会う日程などを話し合って決めた場合は、いつ、何を、どう決めたのかを、メモや書面で残しておくと、その後の話し合いの土台になると考えられます。口約束だけだと、時間がたつにつれて、記憶が食い違いやすくなります。

決めないまま進むと、起きやすいこと

離婚届を出せたとしても、子どもやお金のことを決めないまま離婚すると、後から困る場面が出てくることがあります。

  • 「そんな約束はしていない」と、記憶が食い違う
  • 養育費の金額や支払日があいまいで、そのたびに確認が必要になる
  • 親子交流や長期休みのたびに、相手と一から話し合うことになる
  • 期限のある手続きを、知らないうちに過ぎてしまう

具体的な場面は、取り決めなしで離婚すると困る場面5つと、離婚前に決めておくことで紹介しています。

決めたことは書面に残す:離婚協議書と共同養育計画書

決めたことは、話し合いで終わらせず、書面に残しておくことが大切です。書面には、主に次の2つがあります。

  • 離婚協議書:離婚の合意、親権、養育費、財産分与など、離婚のときの取り決め全般を残す書面です。一般的には、離婚時に確定し、基本的に更新しません。
  • 共同養育計画書:子どもの暮らし、親子交流、学校や医療の決め方など、離婚後の子育ての取り決めを残す書面です。一般的には、子どもの成長に合わせて見直していきます。

どちらも、作成は法律上の義務ではありません。ただ、話し合いだけで離婚できる日本だからこそ、決めたことを文書に残しておくことが、子どもと自分の生活を守ることにつながります。共同養育計画書は、公的機関も作成を勧めています。

離婚協議書の書き方は離婚協議書の書き方|書いておきたい主な10項目と、作るときの注意点で、共同養育計画書については共同養育計画書とは?離婚前に作ることが勧められる理由と決める項目で詳しく解説しています。

書面を作る方法は、大きく3つあります

どの方法が合うかは、相手との関係、どこまで細かく決めたいか、かけられる費用や時間によって変わります。

  • 自分たちで作る:公的機関や支援団体が公開している記載例などを参考に、父母で作る方法です。メリットは、費用をかけずに始められることです。注意点は、細かい取り決めや、合意の進め方を自分たちで考える必要があることです。
  • 専門家に頼む・支援を受ける:弁護士などへの相談・依頼、ADR、家庭裁判所の調停、公正証書にする方法などがあります。メリットは、個別の事情に合わせた助言を受けられることや、第三者に間に入ってもらえることです。注意点は、依頼内容によっては費用が比較的高額になりやすいことです。
  • アプリで作る:アプリの案内に沿って、項目を選びながら作る方法です。メリットは、項目ごとの解説を読みながら、顔を合わせずに進められるものもあることです。注意点は、相手にも同じアプリを利用してもらう必要があることです。

詳しい比較は、共同養育計画書の作り方3つ|自分で・専門家に頼む・アプリで作るで紹介しています。

Copakアプリで、子どもの取り決めとお金の主な項目をまとめる

「相手と向き合って細かく話すのは、つらい」「でも、決めたことは書面に残しておきたい」。そうした方のために、一般社団法人 共同監護機構が提供しているのが、共同養育アプリ「Copak(コパック)」の共同養育計画書の作成機能です。アプリ内では「やくそく」という名前で表示されます。

項目ごとに選択肢から選び、合意できたところからまとめる

Copakでは、協議する項目ごとに選択肢から選び、父母が合意できた項目から計画書にまとめていきます。顔を合わせなくても、提案、確認、代わりの案の返信まで、すべてアプリ内で進められます(この仕組みは特許出願中です)。たとえば、次のような決め方もできます。

  • 遅刻したときの対応:事前に連絡すれば一定の時間までは待つ、一定の時間以上遅れた場合はその日は電話やWeb面会に切り替える、など
  • 天災や体調不良で予定が変わったとき:一定の期間内に代わりの日を決める、次の養育担当日を延長する、代わりの日は設けない、など
  • 離れている間の子どもとの連絡:養育を担当していない親と子どもが、電話やWeb面会などで連絡できるようにする、連絡の頻度を決める、など

親権・財産分与・養育費など、離婚協議書に書く主な内容も、共同養育計画書でカバーできます(年金分割は含みません)。なお、計画書で合意しただけで親権者が決まるわけではありません。親権者は、離婚届(話し合いがまとまらない場合は家庭裁判所の手続)で定めます。

合意した計画書には、父母それぞれが電子印鑑を押します。解説文とテンプレートは、弁護士事務所の監修を受けています。単独親権にも対応しており、離婚した後からでも利用できます。合意した後は、共同養育カレンダーや定型文のメールなど、離婚後の子育ての連絡にも同じアプリを使えます。なお、Copakは交渉を仲介するサービスではありません。

相手に提案する前に、次の点をご確認ください。

  • 共同養育計画書の作成は、一般会員(有料)の機能です。料金は1名あたり、半年プランが5,000円、年間プランが8,000円(いずれも税込)です。
  • 父母の双方が一般会員になる必要があります。 一方だけでは使えず、その場合の返金にも対応していません。申し込む前に、相手と利用するプランについて合意しておいてください。
  • 一般会員の期間が切れると、計画書は保管されたまま閲覧できなくなります。期間内のダウンロードをおすすめします(ダウンロードは別料金です)。

まとめ

  • 離婚を考え始めたときは、結論を急がず、気持ちと状況の整理、家計の把握、子どもの毎日の想像、決めることの全体像の把握、相談先の確認の5つから始められます。
  • 別居を考える場合も、別居中の生活費(婚姻費用)や、婚姻中別居の親子交流について、公的機関が説明している内容を知っておくと、考える材料になります。
  • 個別の事情に応じた法的な判断や、相手との交渉の代理は、弁護士などの専門家の役割です。迷うときは、相談先を使ってください。
  • 決めたことは、離婚協議書や共同養育計画書で書面に残しておくと、後の話し合いの土台になります。

次に読みたい記事

よくある質問

離婚するかどうか決めていなくても、準備を始めてかまいませんか?

かまいません。情報を集めたり、気持ちや家計を整理したりすることは、離婚を決めることとは別です。続けるにしても、離れるにしても、考える材料になります。ただし、相手との関係や状況によっては、情報の集め方や保管の仕方に注意が必要な場合があります。迷う場合は、相談先をご利用ください。

別居したら、生活費はどうなりますか?

別居していても、離婚が成立するまでは、原則として夫婦は生活費(婚姻費用)を分担しなければならないとされています。話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に調停または審判を申し立てることができます。具体的な金額や進め方は、個別の事情によって異なるため、弁護士などの専門家や、家庭裁判所にご確認ください。

子どもには、離婚のことをいつ伝えればよいですか?

一律の時期や方法はなく、家庭の事情や子どもの年齢によって異なります。法務省のパンフレットでは、子どもが「自分のせいで離婚してしまったのではないか」と不安になることもあるとして、子どもが悪いのではないことや、父母の双方が子どもを大切に思っていることを伝える方法の一つに、親子交流が挙げられています。伝え方に迷う場合は、相談先をご利用ください。

夫婦関係を修復したい場合は、どこに相談できますか?

家庭裁判所の夫婦関係調整調停(円満)を利用する方法があります。離婚した方がよいか迷っている場合にも利用できるとされています。夫婦の問題についての相談先は、お住まいの地域によって異なります。市区町村の窓口などにお問い合わせください。

どこに相談すればよいですか?

相談先ごとに、対応できる内容が異なります。制度や手続の案内は法務省のサイトや市区町村の窓口、費用面の不安は法テラス、養育費や親子交流は養育費・親子交流相談支援センターが、それぞれ案内しています。個別の事情に応じた法的な判断や、相手との交渉の代理は、弁護士などの専門家の役割です。

参考資料

この記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な状況については、弁護士などの専門家にご相談ください。